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思い込みは大事だ! [JAZZ]

演奏者にはジャンルは関係ないと言う人が多いですが、そうは言っても聞く側ではジャンル分けを頼りにしている人が多いのではないかと思います。
ジャズの定義を大きく即興演奏が主体の音楽だとすると、フリージャズ、フュージョン、コンテンポラリー、デキシーランドジャズ、ビーバップ、ハードバップなどと更にジャンルが細分化されます。
その中でもハードバップにどっぷり嵌ったジャズ愛好家は、ハードバップこそがジャズでそれ以外はジャズと認めないような傾向が強いかもしれません。
この傾向が強い人は歴然とジャンルを意識していると思います。

若い頃の僕は、どんな音楽でも演奏出来るミュージシャンに憧れていたのでジャズでもポップスでも歌謡曲、シャンソン、タンゴ等なんでも聞いたし演奏してきました。
ノンジャンルミュージシャンを目指していたんだと思いますが、残念ながら自分が思う程器用ではなかったのです。
逆に40代の半ば頃から、ジャズの中でもバップだけを集中して聞くようになり演奏するようになりました。
ある程度の年齢になってきて、ようやく自分の中で整理がついた気がします。
それからもうかれこれ10年になりますが、限定されたジャンルの中にもまた更に多様なものがあるのです。
これはスタイル云々ではなくて人間模様のようなものかな。
なかなか難しいけど、音楽の深さは表面的な心地よさだけでは判断出来ないものだと思います。
最近いろんな人の演奏を聞いていてそう思いました。

ところで、先日関西に住む友人のバイオリニストが「オルケスタ アストロリコ」と云うタンゴバンドの公演で練馬文化センターにやって来たので聞きに行ってきました。
素晴らしい公演でした。
特に後半に演奏された、彼らが憧れるプグリエーセの楽曲は圧巻でした。
それらの曲を僕は初めて聞いたのですが、奏者の強い思いに惹付けられました。

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さて寒い日が続きますが、春までもう少しの辛抱かな。
近所を散歩したときの石神井川です。

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           ●2/19(Tue.) 錦糸町 Early Bird (03-5608-1083)

           小野孝司(p) 矢野伸行(b) 岡田朋之(d)

            OPEN 19:00, 1st 20:00, 2nd 21:30, M/C ¥3,000(1drink)

             http://e-birdmusic.com/index.html
              墨田区錦糸2-3-9 アライビル301


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Richie Powell [JAZZ]

お久しぶりです。
ブログを更新する間隔が開き過ぎたので心配してメールを下さった方もいました。
ほんとに有難いことです。
いろいろ考えることが多い年明けでしたが、インフルエンザにやられることもなく元気に生きております。

さて、最近はいろんなジャズを聞いていますが、その中でもブラウン〜ローチクインテットはいつ聞いてもKO!されてしまいます。
ブレーキーのメッセンジャーズとは違った抑制が利いたところにかえって凄みを感じます。

そのクインテットのアルバムの中で、[↓]はジャケットの写真にほのぼのさせられます。
バカッ速い曲でもやったのか、楽器にもたれかかってぐったりしているベースのジョージ・モロウにクリフォードとハロルド・ランドが微笑んでいます。
リッチー・パウエルの表情からは窺い知ることは出来ませんが、マックスは一寸固い感じかな。
クインテットの演奏の間の一コマが窺われて、とても良いショットだと思います。

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Richie PowellはBud Powell の実弟で、クリフォードと一緒に車の事故で若くして亡くなりました。
[↑]のCDにはトリオで演奏された「I'll String Along With You」という曲が入っています。
若くして亡くなったため、もしかしたらトリオで演奏されたもので残っているのはこれくらいかもしれません。
この曲は、ドリス・デイ、ナット・キング、サッチモ、最近だとダイアナ・クラールなどが歌っていますが、リッチーの演奏を聞くとそれらと同じ曲とは思えません。
このクインテットのアレンジ(例えば「Joy Spring」のイントロ)に聞かれるような独特のダークな色合いが強調されたような演奏です。
ルバートで演奏される曲の前半が特に素晴らしいですね。
兄弟と云うだけでバドと比較するのは全く無意味で、リッチーがもし長生きしていれば個性的な素晴らしいピアニストとしてもっと多くの人に知られる存在になっていたことだろうと思います。
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Bop時代のピアニスト達 [JAZZ]

Tadd Dameron (February 21, 1917 in Cleveland, OH)
Thelonious Monk (October 10, 1917 in Rocky Mount, NC)
Hank Jones (July 31, 1918 in Vicksburg, MS)
Erroll Garner (June 15, 1921 in Pittsburgh, PA)
Duke Jordan (April 1, 1922 in New York, NY)
Al Haig (July 22, 1922 in Newark, NJ)
Red Garland (May 13, 1923 in Dallas, TX)
Elmo Hope (June 27, 1923 in New York, NY)

Bud Powell (September 27, 1924 in Harlem, New York, NY)

Oscar Peterson (August 15, 1925 in Montreal, Quebec, Canada)
Walter Bishop Jr. (April 10, 1927 in New York, NY)
Kenny Drew (August 28, 1928 in New York, NY)
Horace Silver (September 2, 1928 in Norwalk, CT)
Junior Mance (October 10, 1928 in Chicago, IL)
Hampton Hawes (November 13, 1928 in Los Angeles, CA)
Barry Harris (December 15, 1929 in Detroit, MI)
Tommy Flanagan (March 16, 1930 in Detroit, MI)
Sonny Clark (July 21, 1931 in Herminie, PA)
Wynton Kelly (December 2, 1931 in Jamaica)
Phineas Newborn Jr. (December 14, 1931 in Whiteville, TN)
Ray Bryant (December 24, 1931 in Philadelphia, PA)
Walter Davis Jr. (September 2, 1932 in Richmond, VA)
Cedar Walton (January 17, 1934 in Dallas, TX)
Bobby Timmons (December 19, 1935 in Philadelphia, PA)

こんな一覧を作ってみました。
生年月日等はhttp://www.allmusic.com から引用しました。
やることが一杯あるのに停められなかったのです。(暇だなあ、と云う声が聞こえてきそう)

最年長のTadd Dameron から最年少のBobby Timmons まで18年の開きがあります。
Powell を中心に前後に分けると、上は全員Parker との演奏が残っている人ばかりで(Dameron は判らない)、下では知っている限りではWalter Bishop Jr. くらいかな。
Red Garland は想像以上に先輩格であること、Bobby Timmons の方がCedar Walton より下であることが意外だった。
1928年と1931年が豊作ですね。
BNレーベルの最初のハウスピアニストのHorace Silver とその後を受け継いだ形のSonny Clark がそれぞれの生まれ年に入っています。
この辺りにはHardBop を支えたピアニストがキラ星のごとく並んでいます。

Sonny Clark は日本で受けている程本国では評価されていないと云う話を聞くことがありますが、本当かな?どうなんでしょうか?
日本で「Cool Struttin'」が大当たりしたので過大評価されているということなんでしょうか?
とは言え、BNレーベルに相当の量の仕事を残してることから考えると評価が低いとは思えないですね。
Sonny Clark は上手くて流麗なピアニストである一方、それが目立ちすぎると逆に印象が薄くなってしまうことがあるのではないでしょうか。
Horace Silver は反対にゴツゴツした部分にとても惹かれ、そこが印象深いのです。

個性的で素敵なこれら24人のピアニスト達以外にも名も知られず録音も残ってないような同時代のピアニストが更にたくさん居たことでしょう。

現在、Horace Silver、Junior Mance、Barry Harris、Cedar Walton の4人が存命だと思います。

またまた話が全く違う方に変わりますが、バージョンアップされてiTunes のUI が素敵になりました。
ジャケットの色合いに応じて曲目一覧の部分も変わったりでとてもオシャレです。

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Enigma [JAZZ]

Enigma ってなんだろうと思って検索してみると、ナチスが使った暗号機のことなのだそうです。

でも今日のお話は、J.J. Johnson が書いた美しいバラードのことです。
残念ながら、僕のコレクションの中には彼自身の演奏のものが無い。
1953年にMiles Davis がブルーノートに録音した黄金の1500番台のスタートとなったレコードで演奏されているが、このレコードは他の全ての曲も素晴らしい。
「Enigma」はほとんどマイルスのソロで、僅かに8小節だけピアノのGil Coggins のソロがある。
J.J はバックのアンサンブルで吹いているだけだ。

マイルスの自叙伝によると、この前年の52年はヘロイン中毒から脱しきれず、ブルーノートに1枚録音しただけで最悪の年だったようだ。
53年は少し明るさが見えて来たようだが、それでもそんないい状態ではなかった。
でも、演奏を聞くとそんなひどい状態だったようには聞こえない。
むしろ世間では、このブルーノートの「Miles Davis Vol.1& 2」を好んでいる人は多いと思う。

Al Haig は74年の「Invitation」と77年の「Enigma」の2枚に録音がある。
「Invitation」のジャケットは、http://takashiono.blog.so-net.ne.jp/2012-01-16 に載せたことがありますが、「Enigma」はこれです。

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僕的には、nice! なんですが。[グッド(上向き矢印)][わーい(嬉しい顔)]

74年の方は、マイルスのアレンジを少し踏襲していてソロの中身に J.J がバックグラウンドで吹いていたフレーズの断片が聞こえたりする。
おそらくマイルスの録音を聞いたのだろう。
77年の方は、もう少し自分のスタイルに熟れていてアレンジもバンプの部分が2小節少ない。

コード進行は、マイルスとアルとは少し違っていて、ホーン奏者のマイルスの方がスマートに処理していると思うが、ただ聞いているだけではその差は判らないくらいだ。
どんな曲でもマイルスのコード進行は合理的で割り切れる感じがして、それがクールな印象をあたえるのかもしれません。

逆にアル・ヘイグの演奏は特有の濃密さがあって、これが嫌いな人は彼を聞かないだろうと思う。
でも「Enigma」の様な曲ではそれがすごく生きてくると思うのだ。

それにしても、この曲は変わった構成と頻繁な転調とちょっとやり慣れないⅡ-Ⅴ がたくさん出て来て、でもとても美しい曲です。


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At Mister Kelly's [JAZZ]

最近は、Sarah Vaughanの有名なライブ盤「At Mister Kelly's」をよく聞いています。

「Mister Kelly's」は'50年代から70年代にシカゴに存在したレストラン&ナイトクラブだそうで、ジャズやブルースのショウが入っていたようです。
そんなナイトクラブでのライブ音源ですが、どっしりとしたテンポの「Just One Of Those Things」、「How High The Moon」の素晴らしいスキャット。
華麗なジャズボーカルとアーシーなピアノトリオ。理想の演奏がここにあります。
ジャケットも華やかなナイトクラブを正面からとらえていて夢がありますね。

歌判の名手と云われるJimmy Jonesの伴奏は、一聴するとブルージーな色合いが濃いですが、和音がきめ細かくてコピーすれば宝の山かもしれないですね。

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